日々を駆け巡るoyayubiSANのブログ

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目が腐る小ネタを土日。ゲーム実況を月火。小説を水曜。4コママンガを木金に更新!

ここで出たか!第22話 暴風荒ミスティ・ミラージュ ラスティ

 

しかし! そこで指をくわえて見ているだけのリンセンではない! 相手が竜巻ならば、こちらも同じく回転で対抗すればいいだけの話っ! シンプルな話っ!

 

「かぁぁぁいぃぃぃてぇぇぇんぅぅぅ! いま編み出した、逆竜巻殺法だぁぁぁ!」

 

 グールドが放った竜巻と逆方向へ根を回転させたままグールドの竜巻へ真正面から突っ込む! 一見無謀にも思える考えなしの特攻ではあるが予想の斜めを行くその発想にさすがのグールドも度肝を抜かれたっ!

 

「回転が足りねぇんだよっ! 回転がなぁっ!」

 

 竜巻と回転! ほぼ同レベルの回転を受けた竜巻は次々と混を前にして相殺されてゆくっ! これぞ秘儀! 逆竜巻殺法なり!

 

 だが! リンセンも無傷とはいかないっ! フルパワーで対抗するが、混の回転力も落ちていく! そのとき、グールドによる第二波が襲うっ!

 

「塵カスと成り果てい!」

 

 僅かに体内に残していた空気を塊にし、左腕から発射! 空気の弾丸は竜巻を貫き、体力を削られたリンセンの混に命中!

 

 空気の弾丸が弾け、リンセンの周囲の床を抉るっ! 巻き上げられた粉塵によりリンセンは視界を奪われる!

 

「ふははははは! ニッポン人よ! あの世で自分を呪うがいい!」

 

 ついに! 奮闘虚しくリンセンは敗れ去った! 

 

 ――かに思えたが、リンセンはそう甘くないっ!

 

 粉塵が晴れたが、その場にはリンセンのリの字もないっ!

 

「どこだニッポン人っ!」

 

 周囲を見回す。

部屋の端、クローネたちが捕まっていた鳥カゴの下にリンセンの姿があった!

 

 鳥カゴは無残にも破壊され、クローネとフランも救出されている。

リンセンの狙いはこれっ! ギリギリのタイミングで空気の弾丸を防ぎ、爆発した瞬間をチャンスにクローネたちを助けたのだ! これぞハイスピードレスキュー!

 

「リンセンっ!」

 

 クローネは大粒の涙を流しながらリンセンの胸に飛び込んだ。フランも動揺するリンセンの手を握って大げさに振っている。

 

「お、おい離れろよ! まだヤツはいんだぞ!」

 

「リンセン! あの人、悪い人でしょう? やっつけてよ!」

 

「わぁってるよクローネ! だから、離れてろって!」

 

 フランはクローネの手を引き、部屋の端まで走って戦闘エリアから抜ける。

できることならクローナと合流したかったが、兵士たちはクローナにびったり張り付いているため離れたところでひっそりと待機するしかない。

 

 あっけなく人質を助けられてしまったグールドは、怒りでギリギリと歯ぎしりをする。

その悔しさ、宇宙級だ!

 

 火山のように怒りが噴火し、リンセンに対して怒声を浴びせる。

 

「貴ぃぃぃぃさぁぁぁぁまぁぁっぁぁ!」

 

「へっ! 残念だったな。卑怯なことしたって良いことなんかねぇんだよ!」

 

「なぜだ! なぜニッポン人でもないそいつらを助けるっ! ニッポン人のクセに、なぜエンギルダ国の正義と平和のために戦うのだっ!」

 

「なにが正義だ。なにが平和だ。んな小難しいことなんぞ俺には分かんねぇよ! 俺はただ、美味いメシが食えればそれでいい!」

 

「ほう。平和がなければ食事もままならないと思うが?」

 

「あ? それもそうだな。じゃあついでに平和でも守ってやるか」

 

「守ってみろ。守れるものならば、なぁぁぁ!」

 

 グールドは巨体を揺らしながら特攻した。一歩一歩が地を揺らし、一歩を踏み出す度に加速するっ!

 

 この調子で真正面から迎え撃っても、同じ轍を踏むだけだ。リンセンは頭では理解できていたが、風のようなスピードで迫られては回避も防御もできない!

 

 どうする!? どうすればっ!?

 

 エンジンが焼き切れそうなほど頭をフル回転させグールドへの対策を思案するっ!

 

 だが、その必要はなくなった。

 

「消えたっ!?」

 

 突如! グールドは確かにその場から消滅したっ!

 

 だが確かに地を蹴ったことによる地響きは聞こえる。

薄らだが気配もあるっ! だがその姿は肉眼で捉えること叶わずっ! その場に存在していることは確かだが、影も形も存在しないっ!

 

「甘い」

 

 リンセンは振り返るっ! 何事かっ!? 消失したと思われたグールドは突如背後に姿を現した!

 

 ヤバい! そう思った瞬間、時すでに遅しっ! 時はすでに遅しっ! グールドの巨大な鉄拳パンチがリンセンめがけてぶちかまされたっ!

 

 防ぎきれない一撃をモロに食らいリンセンの全身は床にめり込むっ!

 

「容易いものよ。所詮はニッポン人。兵器として使うには期待外れだったが、使う前に欠陥品と分かって良かった良かった」

 

 グールドは敵を打ち倒したことで気分が高揚し、またまた大口を開けてガハハとバカ笑いをする。

 

 勝利を確信した、その時。

グールドの拳の先でなにかが蠢いている感触があった。

いや、感触だけではない。

叩き潰した敵らしき声が、拳と床の隙間から漏れている。

 

「……あぁ? なにが良かったって……?」

 

「き、貴様っ!?」

 

 リンセンは叩き潰されてなどいなかった! 両腕で拳をガッチリホールドし、ズンと両足で耐え忍んでいるっ!

 

「てめぇのパンチなぁ。確かに効いたぜ……だがなぁ。俺は血で汚れた汚ねぇパンチなんかでくたばるほどヤワじゃねぇってことだ!」

 

「口は達者だな。そういう言葉は勝負に勝ってから好きなだけ言うがいいさ」

 

 ――瞬間。

グールドはまたも消滅した。

しかしリンセンも学習しないわけではない。

 

 あえて目を閉じて気配を探ることに専念する。

 

 殺気を感じ取るだけならば不可能ではない。

しかしスピードは相当なもので、コンマ数秒の差で回避できるかできないかのレベルだ。

避け続けるだけでは勝利を掴めないのも事実。

 

 右かっ? 左かっ? 上かっ? はたまた下かっ?

 

「リンセンっ!」

 

 気配を探ることに集中していたリンセンの耳に届いたのは、クローネの声だった。

 

「リンセン! 上っ!」

 

 ――その言葉が耳に入った瞬間っ! リンセンはグールドの姿を捉えるよりも早く一目散に壁へ向かって走った。

壁に足をかけて駆けのぼり、あれよあれよと高みを目指すっ!

 

「貴様っ!? なぜ壁を登ったっ!?」

 

 グールドは不意のアクションに対処できずリンセンが立っていた場所へ激突っ! その隙を突き、リンセンは両足で壁を蹴って飛び上がったっ!

 

「グールドっ! てめぇの弱点はそこだぁ!」

 

 勢いで飛び上がったは良いものの、しかしグールドの姿は捉えることはできない。

だがそんなこと構わず、リンセンは一点集中で狙いを定めて突きをぶちかますっ!

 

「ぐおぉぉぉぉおおお!」

 

 お見事っ!

 

 姿こそは確かに見えないっ! がっ! グールドがリンセンへ目をやった瞬間に、なんとグールドの眼球に混を炸裂させたのだっ!

 

「貴様ぁぁぁ! またしても目をぉぉぉ! 卑劣なぁぁぁ!」

 

「だから言ってんだろーが。俺は正々堂々が大嫌いなんだよ。武士道なんぞクソくらえだ」

 

「ええい! そんなことは今はいい! それより貴様……なぜだ。なぜ咄嗟に回避できた! そしてなぜ的確に目を狙えたっ!? 見えないはずだろうっ!」

 

「教えねぇよ。そんな簡単に言うわけねぇだろぉがクソモンスターが!」

 

 それはもちろん、敵を察知する能力を持つクローネのおかげだ。この能力さえあれば、たとえグールドが透明になって姿を消しても発見することが可能っ!

 

 リンセンは今後のためにもクローネについて説明するつもりはなかったが……。

 

「だがこっちは教えてやる。てめぇの目を狙えたのは単純な理由だ。てめぇは必ず俺を警戒してこっちを見る。後は勘でそれっぽいところにぶちこむだけだ」

 

「そ、そんな程度のことでっ!?」

 

「考えるのは嫌いなんでな。勘と力で押すだけだ」

 

「ぬぅぅぅぅぅぅ!!! 片目はやられたっ! だがもう片方があればっ!」

 

 グールドは周囲を見渡す。

究極にまで強化された自分をここまで追い詰めるリンセンにどんな秘策があるのか、残った片目で確認するためだ。

 

 いた。

 

 透明になった自分を発見し、予め対処できるよう指示できる人物――。

 

クローナエスクードの妹っ! 貴様かぁぁぁ! 貴様にも能力があるのかぁぁ!?」

 

 クローネに向かって全速力で駆け出した! フランはかばうためにクローネを抱きしめるが、クローネは怯えながらも一歩を踏み出した! このままではっ!

 

 ドタドタドタとおぼつかないが、飢えた野生動物のように迫るグールド。

クローネの小さな体など一撃で八つ裂き間違いなしだが、怯まずクローネはグールドの弱点を探るっ!

 

 完全無欠なグールドの肉体。

注射痕や眼球よりも確実な弱点――最も力の源となっている決定的な部分――。

 

 グールドが到着するまでのコンマ数秒――。この短い時間で、弱点を探るっ!

 

「見つけたっ!」

 

 だがリンセンはっ! グールドの行動を予測しすでに先回りしていたっ! 片目を失ったグールドは本来のスピードでの走行ができず、先回りされたリンセンには敵わないっ!

 

「リンセンっ! 額に力を発している核があるっ!」

 

「分かったぜクローネ!」

 

 リンセンは混を風を切るように廻し全身に気合を充填っ!

 

 真正面からバカ正直に挑むグールドの額を一点集中で狙うっ!

 

「てめぇの姑息な作戦がアダになったみてぇだな! てめぇは連れてきちまったんだよ。超強力な助っ人をなぁぁぁ!」

 

「ニッポンとエンギルダのクソガキどもがぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 根の先から先まで熱が通過する。

リンセンの魂すらも燃やし尽くせるほどの激が最大限にまで高まり目の前の悪を粉砕するド根性の一発を構える!

 

 これでっ! この一発で全てを終わらせるっ!

 

 そのえげつないほどの気合っ! さながら怪物を討伐する英雄の如きっ!

 

「破壊する激動、壊滅する暴動! 一億一心のォォォ! 俺のトドメェェェ!」

 

 そのバカ面っ! その額めがけっ! 超渾身の一撃でっ! 討つっ!

 

「十把一絡げにぃぃぃぃ! 大・成敗っ! してやるぜぇぇぇぇぇぇ!」

 

 ステップと共に放たれた一発っ! それは大砲か!? 爆弾か!? いいや違うっ! だが混は確実にグールドの額にねじ込まれ鋼の肉体を破壊するばかりの超爆発を発生させっ! そして力の源である核を粉々に打ち砕いたっ!

 

 グールドの肉体から、栓を抜かれたように力が抜けていく。

徐々に屈強な肉体は縮んでゆき究極の力は無へと退化してゆく!

 

「ぐ、ぐぉぉぉぉぉぉぉ!!! 貴様! 貴様! 貴様ぁぁぁぁぁ!」

 

 グールドは痛みと苦痛っ! さらに核により抑えつけられていた薬の副作用が爆発し、もがき苦しむ! 額を両手で押さえ、漏れ出てゆく力を必死に食い止めるも指の隙間からドス黒い煙が噴き出し天井を黒く染めたっ! これは黒いっ! あまりにも黒いっ! 黒!

 

 煙を出し切ったころ、グールドの体は以前のグールドと違い実に見すぼらしい体に変貌していた。

 

「あ、あああああ……き、貴様ら……このグールド様を、を、ヲヲヲヲ……」

 

「もうヤメなグールド。てめぇの負けだ。てめぇの大好きな戦争は始まる前に終わった」

 

「まだだ……まだ、まだ終わってはおらん! まだ奥の手はあるっ!」

 

 グールドは懐に隠していたリモコンを取り出し、真っ赤に輝くボタンを押し込んだっ!

 

 リンセンが慌てて叩き落とすが、時すでに遅しっ! ボタンはすでに押されているっ!

 

 グールドの心臓から真っ赤なエネルギーが体を伝い、背中へ到達したっ! その背中には何があるのか? 単純明快! そこには城ごと大爆発させるほどの多量の火薬が詰め込まれているっ! ここにエネルギーをぶつければ、城は吹っ飛び、下の町も巻き込まれて大量の死者が出るだろうっ! これは恐ろしいっ! あまりにも恐ろしいっ!

 

 だがっ!

 

 グールドの背中にはっ! 灰色のトゲを持つ小動物、ハリネズミがいたっ!

 

「お、お前っ! クソ女んとこのハリネズミ、ピアストルじゃねぇかっ!」

 

 クローネを攫ったとき、同時にピアストルもここに来ていたっ! そいつがグールドの自爆を予測したのか、心臓と背中に走るエネルギーチューブを噛み千切ったっ!

 

「くぁぁぁぁ!!! この薄汚いトゲネズミがぁぁぁ!」

 

「トゲネズミじゃないわ。ハリネズミのピアストルよ」

 

 グールドの言葉を訂正したのは、他ならぬクローナだ。

目隠しも麻袋も手錠も外され自由になったクローナがグールドの前に立ち、ビシっと指を突き付けていたっ!