日々を駆け巡るoyayubiSANのブログ

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親指に関すること(関しないことも)を追求するブログ。親指はあんまり出ません。 毎週日曜に更新!

強敵多数! ブログ小説(15)暴風荒ミスティ・ミラージュ ラスティ

お題「マイブーム」

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「ふふふ……俺様の不意打ちを避けるとは、なかなかやるなニッポン人」

 

「褒めてくれて嬉しいね、でもちょいと質問がある」

 

「質問? ほう、なにかね」

 

「お前、バケモンだろ。ナイラ国は人間をバケモンに変える実験でもしてんのか」

 

「ふふふ、面白いことを訊くニッポン人だ。この体は断じてバケモノなどではない。これはナイラ国とグールド様への忠誠の証、そして我ら戦士の武器、そして力の証明! ナイラ国が誇る究極の化学力が生み出した、究極の肉体強化薬を注入した究極の肉体なのだ!」

 

「はっ! 下らねぇ自慢だな、訊いて損したぜ。その調子なら、あっちの吹き矢の野郎も同じ穴のなんとやら、か」

 

「ニッポン人、死ぬ前に忠告しておこう。今のうちに医者を呼んでおくことだ」

 

 今ここで貴様を八つ裂きにしてやるから、今のうちに医者を呼んでおけ、と、つまりそういうことだ。

 

「悪ぃな、医者ならもう呼んであるぜ。てめぇらのためになぁっ!」

 

 飛び上がったリンセンがディルハムへ食いつく。

ディルハムは空中から高速で繰り出された棍を巧みに受け流し、頭上のリンセンへほぼ直角の蹴りを叩き込んだ。

 

 解説っ! これは、かつて名をはせた闇闘技大会でも使われた殺人キックの一種! 空中から襲い掛かる相手には絶大な効果を発揮できる、ディルハムの得意技!

 

 だがリンセンには予想通りだった。

これまた的中!

 

 リンセンは空中で身を翻し、体勢を立て直した。

ディルハムの得意気な蹴りを踏み台変わりにし、岩陰に隠れるドブラへ大ジャンプ! この一瞬の攻防にはさすがのディルハムもヒヤっと焦る!

 

 ドブラはまさかの事態にも慌てず、次の吹き矢を射出

動き回る相手も撃ち落とせる自信はあるが、落ちてくる標的ならば狙いは確実!

 

「この毒! 受けてみよっ!」

 

 落下しながらも混で針を叩き落とし、順調に距離を詰める。

ディルハムの蹴りの威力も相まって、止まることを知らない超スピード! もはや弾丸!

 

「ヤバい! これは、ピンチ!」

 

 残念だが吹き矢の装填には時間を要する。

次の一発までは隙だらけで、もう間に合わない。

 

「俺の邪魔をすんなぁぁぁぁぁあ!」

 

 根を構え、余裕のなくなったドブラへ突き進む。

 

 落下のスピードをプラスした凶悪な一撃をねじ込む、その瞬間。

新たな攻撃がリンセンを襲う。

 

「なんだ、これはっ!」

 

 驚愕した瞬間、すでに回避できるタイミングは逃していた。

 

 筒状の鉄の塊が、尻から火を噴射しながら迫る。

コンマ数秒で混を使って防御したものの、鉄の塊は爆発し、リンセンは予想だにしないダメージを負った。

 

 リンセンの体は爆風で大きく横へ飛ばされ、岩壁に叩きつけられる。

 

「ぐっ! なんだ、今のアレはっ!?」

 

 リンセンにとって、火薬による攻撃など前代未聞なのだ。

要するにミサイルだが、変身したリンセンを吹き飛ばすほどの威力となると、そうとうな技術が必要になる。

 

 ドブラがいる岩陰から、もう一人別の人物が顔を出した。

ミサイルを開発し放った張本人だ。

 

 やけに体が細く、肉体的戦闘は明らかに不得意だ。

だがその目に宿る野望や執念はドス黒く、もはやその瞳に光はない。

 

「ぐぐ、ぐぐぐぐ。私は、人呼んで恐怖のマッドサイエンティストフォリントだ。そのミサイルにはねぇ。特殊な電磁波が仕込まれていて、炸裂すると電磁波も展開される。電磁波に含まれるトゥグルグ粒子が人体の体細胞をマヒさせるから、どうにもならないねぇぐぐぐ」

 

 フォリントの説明通り、確かにリンセンの四肢はマヒしていた。

変身していても、肉体が活動できなければ戦闘など不可能だ。

 

「てめぇ……ニヤついた顔を見せんじゃねぇぜ、おい」

 

「ぐぐぐ、ニッポン人が作ったとされたその手袋、どれほどのものかと期待したのに、ぜんぜん大したことなくって、ガッカリじゃあないか。でもねぇ、調査したいから、ちょっと調べさせてもらうよぉん」

 

 リンセンの神経という神経全てが、言うことを聞かない。

 

 フォリントはボロボロに朽ち果てた歯を見せながら、汚い笑みを浮かべている。

もうリンセンは、科学的興味の対象でしかないのだ。

 

 岩陰からドブラが姿を現す。

まんまと蹴りを足場にされたディルハムもマヒしたリンセンの前に立った。

 

「お前ら、こいつを殺すのはまだだぞ。こいつの手袋を剥ぎ取って、調べつくして、そして私が変身して、その全てを解き明かしてみせるぞ」

 

「おいおいフォリント、なに言ってやがる。こいつを殺すのが命令だろう」

 

「なにを言うかディルハム。この手袋の変身能力を解き明かし、量産に成功すればどうなる? ナイラ軍はさらなる高みへと昇ることができるのだぞ、軍備増強万々歳!」

 

「ほう。だが満足した後、殺すのは俺たちだからな」

 

 そんな好き勝手なことを目の前で並べ立てられたリンセンは、マヒしているのにも関わらず、拳を強く握りしめた。

 

 驚愕! なんとマヒから、回復してきている! これは早い!

 

「てめぇら、俺がこの程度でぶっ飛ばされると思ったら大間違いだぞ……」

 

「こ、こいつ! 我がミサイルを受けてマヒしたはず! なぜ口が動く!」

 

「あぁ? なぜだと? なぜ口が動くのかって……?」

 

 拳と口に続き、弱弱しくも足が動く。

 

 これは、気合い! 紛れもなく気合だ!

科学などではなく、ただ単純に気合だけでマヒを打ち砕いた!

普通の人間ならば三日と動けない超強力なマヒを――それどころか、体が粉々にはじけ飛んでいてもおかしくはないほどの爆風すらも耐えてしまった!

 

 恐るべし手袋の変身能力! 恐るべしリンセンの気合と肉体!

 

 これには敵、揃いもそろって驚愕! ダブル驚愕っ!

 

「口が動かせなきゃあよ……美味いメシが食えねぇし、てめぇらにこのイライラをぶちまけらんねぇだろうが! だからだよっ!」

 

 リンセンの体を駆け巡る血液が、ただの気合によって最高潮に沸騰した。

目の前の敵を打ち倒すための怒りが燃え滾り、そしてナイラ国を打ち砕く野望が火を噴いた!

 

「うらぁぁぁぁぁぁあああ!」

 

 首輪の鎖を引きちぎった猛獣の加速か――リンセンは爆発的な初速でフォリントへ殴りかかるっ!

 

「砕け散る能動、粉砕する鳴動! 一天万乗のォォォ! 俺の一撃ィィィ!」

 

「やっ! やめろ! 私は、体力勝負はダメだあぁぁぁあああああん」

 

「十把一絡げにぃぃぃぃ! 大・成敗っ! してやるぜぇぇぇぇぇぇ!」

 

「うげげげげげっごごご!!!」

 

 フォリントのみぞおちに二発の拳! コンクリートすらも破壊できるほどの威力を正面から受けて数メートル彼方の岩壁へ吹き飛んでいった!

 

 これでも生身の人間相手だ。

リンセンは手加減していたつもりだが、ついうっかり全力でやってしまうこともある。

仕方がないことだが、死なない程度だ。

 

「この天才である私の発明をぉぉぉぉおおお!!」

 

 最期のセリフで敗北を認め、大の字で岩壁に衝突! 人間の形に象られた穴の奥には、完全に戦意喪失した科学者の成れの果てが転がっていた! 哀れ!

 

「貴様! よくもフォリントを!」

 

「お前、ディルハムだっけ? あとそっちの吹き矢野郎。お前ら十把一絡げに大成敗してやっから、かかってこいよ」

 

 仲間をやられて我を忘れたドブラが、渾身の吹き矢を放った。

リンセンは二本指だけでいとも簡単にキャッチし、素早く投げ返した。

 

「動作が見えれば、掴むのは楽勝だ!」

 

「イッヒィィ!」

 

 毒の針がドブラの額に突き刺さった。

両の目玉が中心の針を見据えたまま、ドブラは乾いた大地へ大の字に倒れた。

 

「安心しな、針をキャッチしたときに、針の毒は絞り出しておいた」

 

 敵! 相手は敵だ! だが、ほぼ初対面の相手を殺傷するほど落ちぶれてはいない。

戦意を喪失させ戦闘不能に陥らせれば、戦いは終了なのだ。

無益な殺傷は無意味だ。

 

「き、貴様! ドブラまでも! だが敵ながらその強さにはアッパレ!」

 

「へっ、悪ぃな、褒めてもらっちまってよ」

 

「ここはひとつ、正々堂々といこう」

 

「あぁ? どういうこった」

 

 すでに四天王の半分がやられ、ディルハムも敗北寸前。

正直、かなり戦う気は失せていた。

はやく家に帰って甘いお菓子を食べたかったくらいだ。

 

 だからこんな提案をし、少しでも気を落ち着かせようとしたのだ。

 

「貴様は、手袋の力で変身しているな。どうやらその変身能力、かなり身体能力を強化させると見た」

 

「あぁ。それがどうした」

 

「男同士、対等な戦いをしたい、その変身を解除し、体一つで――」

 

「拒否だ」

 

「しかし、戦士であるいじょ――」

 

「拒否だ」

 

「だがニッポン人は、なによりも礼儀を――」

 

「拒否だ」

 

「ま、まさか、正々堂々が、嫌いなのか?」

 

「その、まさか、さ。あいにく俺は、正々堂々の勝負が嫌いなんだよ」

 

「き、貴様! それが! それがサムライの言うセリフであるわけないぞォォォ!」

 

「はっ! うるせぇよ。黙って俺に敗北しやがれ! この正々堂々野郎が!」

 

 少しでもリンセンの戦力を削ごうとした作戦だったが、見事に打ち破られた。

それどころか、一ミリも乗ってこなかったことに怒りと焦りを感じていた。

ディルハムは頭を掻きむしり、冷静さを失う。

 

「言ったな貴様! もういい! 正々堂々はヤメだ! 卑怯でもいいから勝ってやる!」

 

 ディルハムはポケットから鏡を取り出して両手で高く掲げた。

強い日光が鏡に反射し、遠く離れた仲間への合図となった。

 

 一部始終が理解できないリンセンは首を傾げつつも、そのチャンスをただ茫然と眺めているわけではなかった。

高速のショートジャンプで距離を詰め、ディルハムに一直線だ。

 

「てめぇ! 鏡なんぞで何をするつもりだっ!」

 

「俺にはまだ仲間はいるんだ! あの貧弱な二人だけではない!」

 

 ショートジャンプで低空を移動中、リンセンは空を警戒した。

太陽を鏡に反射させて合図を送るとなれば、上空か高い岩壁にいる相手しか考えられない!

 

 予想は外れる!

 

 リンセンの左後方より回転する物体を確認。

たまらず両手でそいつを防御するも、受け身を取りづらい空中では姿勢を維持できず、地面に転がり落ちた。

 

「クソっ! んだこれおい! なにをぶつけやがった!」

 

 激突した物体は超高速で回転をしていたのだ。

一瞬触れた感覚だけでは形など把握できようもない。

 

 物体は消滅したのか――地面に落ちている様子もない。

 

 周囲を見渡し敵の発見に努める。

岩陰、岩山の上、地中、空中。

どこにもそこにも敵の姿がなく、次を防ごうにも防げない状況だ。

 

「ふふふ! はははははあ! そいつを耐え凌ぐとは、さすが大した男だ! 敵ながらアッパレと誉め言葉を送ってやろうではないか! アッパレ! と!」

 

「はっ! そいつぁどうもディルハムさんよ。だが方向は分かった。なら、てめぇをぶちのめしながらさっきのを防ぐってのも無理じゃあねぇってわけだ」

 

「ほう。自信はあるか。ならばやればいい!」

 

 ディルハムがリンセンと同じくショートジャンプを繰り出し距離を詰めるっ! リンセンほどではないが巧みに風に乗った踏み込みだっ! これは華麗!

 

 気に食わねぇ――リンセンは自分と似たような動きをするディルハムに怒りを覚えた。

自分だけが最強。

自分だけが頂点。

絶対的勝者である自分を真似た動きなど、言語道断っ!

 平素から短気なリンセンだが、今回ばかりは特に過激に短気だった。

 

 戦闘序盤、圧倒的な威力の格闘を見せつけたときから、ディルハムのことを「いけすかねぇ。クソ人類め」などと心で罵倒していたのだ。

不意打ちをしたドブラとフォリントにも「いけすかねぇ。クソ人類め」と罵倒していたのだが、倒せたのでもう罵倒はしていない。

 

 弱いやつはすぐ倒す。

強いやつには腹が立つ。

それがリンセンの戦いの流儀。

バトルイズムなのである。

 

「いけすかねぇ……いけすかねぇぞ特にてめぇはなぁ!」

 

 正面突破で立ち向かうディルハムに、負けじと正面から混を突き出した。

だが、

 

「甘い! 甘すぎて舐めてしまいそうなくらい、甘いっ! スイィィィト!」

 

 混を両手で受け流し、自身の体を前へ加速っ!

続けて変身したリンセンの強固な肉体に拳を叩き込むっ! これは一見、無意味にも見える一撃。

だがこのコルナ荒野の乾いた大地をもたたき割る拳なのだ。

リンセンも無傷とはいかない!

 

 

 

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