日々を駆け巡るoyayubiSANのブログ

日々を駆け巡るoyayubiSANのブログ

親指に関すること(関しないことも)を追求するブログ。親指はあんまり出ません。 毎週日曜に更新!

ブログ小説(13)暴風荒ミスティ・ミラージュ ラスティ

お題「マイブーム」

f:id:oyayubiSAN:20190819224603p:plain

 

 

「そ、それは……なんとなく、そんな気がして」

 

「なんとなくだと? どういうこった」

 

「分からない。私は、感じるの。人が近くにいた

り、危ないことをする人がいると、分かるの」

 

「お前も、クローナみたいな能力があるってのか」

 

「たぶん。そうだと思う」

 

 クローネの悲しみに満ち溢れた表情を見たリンセンは、それ以上の質問をやめた。

 

今はクローネの能力よりも、クローナの救出が優先だ。

 

「リンセン、私、この能力でお姉ちゃんを見つけたい」

 

「って言ってもよ。相手はナイラ国っつー危ねぇ国だ」

 

「だったら、なおさらお姉ちゃんが危ないよ」

 

「そりゃあ、そうだが。どうするつもりだ」

 

「リンセンが私を守りながら、私が誘導する……っていう方法」

 

「バカ言うな。おめぇみたいなちっこいガキ守りながら敵の中心に突っ込むってのか。そういうのをな、無茶って言うんだよ」

 

「で、でも。お姉ちゃんのためだから、無茶くらいしたって」

 

「それ、逆の立場でも同じこと言うだろうな」

 

「逆?」

 

「もしおめぇが攫われて、あいつがここにいたらって話だ。あいつだって、自分のことを顧みずに無茶すんだろ」

 

「あ、うん……」

 

「とにかく、俺はナイラ国を直接ぶっ叩きにいく」

 

 姉を助けてあげたい気持ちと、リンセンの邪魔をできないという気持ち。

相反する二つの気持ちがクローネの中でぶつかり、幼い心を締め付ける。

 

 今はただ、敵を前にして意気込むリンセンを応援することしかできない。

 

「お願いだよ、リンセン」

 

「あいつらを潰して、クソ女を取り戻す。それと……」

 

 リンセンは両の拳に力を込め、体をブルブルと震わせた! 武者震いだこれは!

 

「俺をあんな箱に閉じ込めやがったクソ人類どもを、十把一絡げに大成敗する!」

 

 リンセンにとって一番の怒りはそっちのようだ。

 

「というわけでクローネ、ナイラ国の場所を教えろ!」

 

「え、知らないの?」

 

「ったりめぇだろ? 俺がこんな国の地理なんぞ知るか」

 

「ええと、じゃあ、すぐに地図を出すから。それでいい?」

 

「おうよ」

 

 いったん二人で部屋を出た。

 

 クローネはリョウとの一戦によって荒れ果てた廊下を初めて見たが、能力によってリンセンたちの只ならぬ殺気を感じ取っていたため、大方の予想はついていた。

 

 だがそれでも、玄関が吹き飛び天井に穴が空き、壁も砕けているのだ。ショックでないわけがない。

 

「ねぇ、リンセン」

 

「あ? なんだ」

 

「あなたたちって、いったいなんなの?」

 

「なんなのって、俺は俺だ。リンセンだ」

 

「そうじゃなくて。どうしてこんな激しい戦いができるの?」

 

「さぁな。俺たちが強いからだろ」

 

 曖昧な説明ではあるが、別に誤魔化しているわけではない。

 

 ただ単に、説明がヘタなだけである。

 

「それより、地図はどこだ」

 

 クローネは瓦礫に混ざっていた地図を拾い上げて、リンセンに手渡した。

二階にあったものが落ちてきていたらしい。

 

 地図といっても、そこまで出来のいい地図ではない。

 

 あくまで、測量士が地道に歩いて調べただけの地図であり、細かい距離などにいくらか間違いはある。

もちろん手元にないよりは力になるが。

 

「おいクローネ、地図が読めん。読んでくれ」

 

「そっか。リンセンってニッポン人だから地図が読めないんだ」

 

「そうらしい。言葉は分かるんだがな。文字はチンプンカンプンよ」

 

 腕を組んでふんと鼻を鳴らして誇らしげなリンセン。

 

 そのアクションにため息をつきつつ、クローネがナイラ国の場所を指でさす。

 

「ここだよ。ここがナイラ国」

 

「おおっ! おめぇ頭いいな。知ってんのか、ここ」

 

「そりゃあそうだよ。すぐ近くだもん」

 

 地図で見る限りは、エンギルダ国のすぐ隣にナイラ国があった。

 

 だが国境は荒野が広がっているため、徒歩で越えるのはかなり厳しい。

行感覚で容易に足を運ぶ人間は、よほどの物好きしかいない。

 

「ここ、どうやって行くの? 列車?」

 

「列車だと? あんなトロいもん、乗るか」

 

「じゃあどうするの? 歩いて行くの?」

 

「おいおい、俺にはな、この手袋があるんだぜ。忘れるな」

 

 リンセンはまたまた誇らしげな口調で手袋を撫でた

その手袋が自分にとってどういうものなのか不明ではあったが、リンセンにとって大きな力になっているのは間違いない。

 

「忘れるなって言われても、それ、なに?」

 

「おっと、お前は知らないんだったな。こいつはな、すげぇ姿に変身できんだよ。普通の人類なんて完璧にぶっ飛べるほど強くなるんだぜ。すげぇだろ」

 

 半信半疑な視線でリンセンを見るクローネだが、あまりにも自信満々に語るリンセンを見て、つい信じてしまった。

 

「気になるなら、見るか?」

 

「え? うん。じゃあ」

 

 リンセンが手袋に触れると、たちまち鋼鉄の鎧がリンセンを包みこむ。

手品のように変身したその一瞬に、クローネは思わず拍手を送る。

 

「お、おお! すごい!」

 

「だろ? これがあればな、ナイラ国なんぞ軽い軽い。すぐ到着するぜ」

 

「じゃあ、もう行くの?」

 

「ったりめーだろ。今行かずいつ行くんだよ」

 

「その、準備とかしなくてもいいの?」

 

「男はな、腹ごしらえさえすりゃ完璧なんだよ、カンペキ」

 

「そっか、腹ごしらえさえすれば、カンペキなんだね!」

 

 クローネは頭の上で丸くなるピアストルを両手で抱き上げ、一緒にリンセンを見送ることにした。

 

 だが、クローネは納得しきれていなかった。

 

 姉がピンチだというのに、自分の能力を活かせないことが、とてつもなく悔しい。

 

 一寸先の闇に手を伸ばして姉を救い出したい気持ちはあった。

それでも、現実は気持ちとは正反対の方向へ流れて行ってしまう。

 

「クローネ、母ちゃんを頼んだぞ」

 

「う、うん」

 

「家は……ボロボロになっちまったけど、ほかの家にでも隠れててくれよ」

 

「分かった。気を付けてね。絶対にお姉ちゃんを助けて」

 

「ったりめーだろ!」

 

 別れを告げたリンセンは破壊された玄関から飛び出し、風のように去っていった。

衝撃で巻き起こった風がクローネの髪の毛をふわりと揺らした。

 

 どうにもならない虚無感がクローネの胸を支配する。

だが手助けをする必要もなければ必要にもされていない。

むしろ逆。

最悪は死ぬ。

足手まといが関の山だ。

 

 今の自分にできること。

それは、ただ無事を祈ること。

ただそれだけ。

 

 ただ、それだけ。

 

 

 

 五章 スカイ・グラウンド

 

 

 

 一方そのころ、ナイラ国のボスであるグールドの前には、四人の男女が集まっていた。

 

 彼らは一様に鋭い眼光を持ち、只ならぬ殺気をみなぎらせている。

 

 しかしグールドの前では膝をついた姿勢だ。

まるで……そう、仕えているといった雰囲気だ。

 

  グールドの全身は漆黒のスーツとネクタイ。

ワイングラスを片手に持ち、膝の上にはペルシャ猫が一匹眠りこけている。

分かりやすいほど、悪者のビジュアルだ。

 

 分かりやすいほど、圧倒的に悪者のビジュアル。

 

「今日ここに集まってもらったのはほかでもない。きみたちナイラ国四天王の全てを出し切り、あの忌々しいリンセンとかいうニッポン人を殺してほしいのだ」

 

 四天王は左右と顔を突き合わせる。

 

 ニッポン人――リンセン――。

 

 もちろん四天王と名乗るくらいだ。

イレギュラーな事態の元であるリンセンについての情報も仕入れている。

 

「監視からの情報によれば、リンセンはこちらへ向かっているとのことだ。

あの脳筋ザムライのことだ、正面突破で向かってくるに違いない」

 

「正面突破? ナイラ国へですか?」

 

 グールドの真正面にポジションをとるリーダーのディルハムが質問する。

 

「その通りだ。リンセンはバカな男よの。四天王が揃い踏みとも知らず、無策で死ににくるとは、これは面白い」

 

「我々四天王におまかせあれ。粉みじんにしてサムライの国へ送り返してやりましょう」

 

 四天王たちは一斉に立ち上がり、命をかけて戦う決意を表す拳を前に突き出した。

 

「頼んだぞ! 四天王最強、拳法と憲法の達人! 青き旋風・ディルハム!」

 

「ハイィー! ハイッ!」

 

 ディルハムは長髪の若い男。

リーダーに相応しい眼光を持ち、かつては闇闘技大会のチャンピオンだった男だが、逃げた恋人が残した借金を返すため、グールドの右腕となった。

 

 闇を闇で塗りつぶす闇の男とは、彼のことだ!

 

「必ずやつを仕留めろ! 毒の使い手、赤き熱風・ドブラ!」

 

「エイヤッ! オッ!」

 

 ドブラは貧民街で育った男である。

彼の得意分野は毒。

狙った獲物は逃がさない。

貧民街のスナイパーだ。

彼の吹き矢を受けたら最後だ!

 

「絶対に逃すな! 鋼鉄の科学者! 黄色い突風・フォリント!」

 

「フォー! ヘイッ!」

 

 フォリントマッドサイエンティスト――つまり悪の科学者である。

肉体は貧弱な彼は体を鍛えることを諦め、最強の化学を追求することにした。

そんな彼が行きついたゴールは、最先端の科学技術! 時計の修理から列車の修理まで、修理できないものはない!

 

「木っ端みじんにしろ! 紅一点の鉄人! 桃色の烈風・ルフィヤ!」

 

「イーヤッ! オウ!」

 

 ルフィヤは四天王の紅一点。

ナイラ国において、鉄人美女と言えばこのルフィヤだけだ。

金髪ロングのヘアーが風になびけば、振り向かない男はいない。

どんな男も、得意のブーメランがあれば一撃で仕留めてしまうだろう! 美しい!

 

「四天王よ! あの忌々しいニッポン人を潰せ。四天王にはとても期待している。勝てば、なんでも望むものをやろう。ただし負けたときは……きびしい処罰だ」

 

 処罰――その言葉を受けた四天王たちの全身を、恐怖が支配した。

処罰といっても単純なお叱りや減給程度ではない。地獄よりも恐ろしい、凄まじい処罰だ!

 

「行け! 四天王! リンセンをひねりつぶせば、もう恐れるものなどないわ。クローナがこちらにいる以上、勝ったも同然だがな! ハハハハハ!」

 

 グールドが高笑いしながら指をパチンと鳴らすと、黒スーツの部下がクローナを連れてきた。

目隠しによって視界を奪われ、手錠で拘束されている状態だ。

 

クローナエスクード。どうも、お元気かね?」

 

「あなた、グールドね。ナイラ国のトップが、私にどんな用事よ」

 

「ぐはは。そう怒るでないわ。これから、こちらへリンセンが向かってくる」

 

「り、リンセンがっ!?」

 

 大して長い付き合いでもないリンセンが救出に来るとは、正直クローナにとっては驚きだったが、報酬の食事を目当てにしている可能性が高いと考えた。

 

 もしもリンセンが救出にきてくれたら、とびっきりのご馳走くらいしてやるつもりだが。

 

「安心せい。あのニッポン人は助けには来ない。なぜなら、四天王に加え、リョウもいるのだからな。もしものときは、クローナの能力で追い詰めれば良いのだ」

 

「くっ……非道よ、あなたたち。非道よ!」

 

「非道! 結構! 大満足! 非道! 結構! 大満足! ハハハハハ!」

 

 体力の消耗を覚悟のうえで、クローナは能力を使って目隠しを透視した。

その非道な面構えくらいはこの目で確認しておかなければ、腹の虫がおさまらない。

 

 だが――。

 

 

 

f:id:oyayubiSAN:20190616211157p:plainf:id:oyayubiSAN:20190616212453p:plain

f:id:oyayubiSAN:20190616212658p:plainf:id:oyayubiSAN:20190616212738p:plain

ブロトピ:今日のブログ更新 ブロトピ:ブログ更新通知をどうぞ! ブロトピ:今日の雑談日記 ブロトピ:はてなブログの更新報告♪ ブロトピ:今日の趣味日記