日々を駆け巡るoyayubiSANのブログ

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親指に関すること(関しないことも)を追求するブログ。親指はあんまり出ません。 毎週日曜に更新!

ブログ小説(3)暴風荒ミスティ・ミラージュ ラスティ

お題「マイブーム」

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真正面からクワンザと組み合い、リンセンの全身にパワーが漲る。

 

 その力の迸り、さながら無限大のエナジー宿る生命の奔流っ!

 

「うごおぉぉぉぉぉぉぉおおお!!」

 

 血管ぶち切れ寸前のリンセンは、それでもクワンザを力で押し込む。

さすがのハイパワーに、ラッツは驚愕せざるを得ない。

 

「あ、あいつめ! あのクワンザを力だけで押すとは! あの手袋にも興味あったが、こいつはすごい! この男自身も想定外の強さだ! だが!」

 

 ラッツはリモコンで指示を出した。

 

 クワンザの顔にあるランプが激しく明滅し、関節から蒸気を吐き出した。

 

「やれ! やるんだクワンザ! そいつをぶっ飛ばせ! このラッツ様を守れ!」

 

 クワンザの両腕がでたらめに動き回り、まだ目覚めたばかりで全力を出せないリンセンにど派手なアッパーカットを炸裂させるっ!

 

「あがぁぁああ!!!」

 

 バネで飛ばされたかのように天井をぶち抜くっ! 人型の穴が開通してリンセンは列車の前に放り出された! これは痛い!

 

 同タイミングで駅に到着した列車は急停止し、リンセンと列車が向かう合う形になる。

 

「素晴らしい! クワンザ! 素晴らしいぞ! どれ、見てみよう!」

 

 ラッツは、なんとか無事でいられた仲間を引き連れ、列車の最前列にまで向かった。

ウキウキとした気分で、晴れやかな気持ちだ。

 

「見ろ! あそこに倒れているぞ!」

 

 ラッツが興奮気味に窓から覗くと、満身創痍のリンセンが線路上に倒れていた。

 

「よし! もう一度だけ列車を動かして、目の前のニッポン人を轢け! あれほどの強さなら、列車で轢いても瀕死で済むだろう!」

 

 操縦席にいる仲間に指示を出した。

もちろん、運転手もナイラ国の人間である。

運転手は意気揚々と敬礼し、ほどなくして列車が再始動した。

 

「あなたたち! なにしてるの!?」

 

 異変に気付き駆け付けたクローナが、ラッツたちの背中に叫ぶ。

 

「おぉ! クローナエスクード! いつの間に目隠しとロープを外しているか!」

 

 ラッツの仲間たちがクローナを捕まえた。

能力を使用しすぎたせいで疲労が蓄積されたクローナには、抵抗する力など残されていなかった

 

「逃げ出そうとしたのだろうけどね、甘いね。あなたは我が国に来てもらうし、あのニッポン人もボロボロにしてまた箱に入れて連れていくつもりだ。諦めなさい」

 

 動く列車の数メートル先には、力なく倒れるリンセンがいる。

よろよろと立ち上がり、ニヤリと口元を緩めた。

 

「な、なんだあの余裕は! もういい! 腹が立つ! 殺しても構わん!」

 

 ラッツの指示で運転手はスピードを上げた。

 

「へっ! その程度でこの俺を仕留めようってのか! 甘ぇんだよ!」

 

 何百倍ものサイズ差がある列車を前にしても怯むことなく、リンセンはやはり余裕の表情を崩さない。

 

 そこで驚愕っ! リンセンは気高き獅子の模様が刻まれた例の手袋に触れた!

 

「おおお!? あのニッポン人! まさかあの手袋を使う気か!」

 

 手袋に触れた一瞬。

 

 リンセンの肉体を赤黒い鋼鉄が覆った。

それはまさにスタイリッシュな武者と表現しよう。

変身だ! スタイリッシュ武者の姿に、肉体が変身している! その姿に興奮するのはラッツ! 驚愕するのがクローナ

 

 瞬時にリンセンの体は、完全にスタイリッシュ武者の体となり果てた。

 

 カタナを持たない、武者の姿に。

彼は、なった!

 

 武者の鎧に孫悟空のような棍棒とは、これは実に不釣り合い。

だが外側のカッコよさよりも内側の強さを求めるのが、彼、リンセンなのだ!

 

「ぶち抜く衝動、貫く鼓動! 百戦錬磨のォォォ! 俺の一発ゥゥゥ!」

 

 力が! 力が! 溢れる! 彼の全身を流れるのは好奇心だとか探求心だとか、そういった生易しいものではない! 流れているのは、がむしゃらな強さだ!

 

 急加速で接近する列車の前、線路上から一歩も出ず、リンセンは棍棒を構えた!

 

 これは、なにをする気なのかっ!?

 

「うそ! あの人、列車とやり合おうっていうの? そんなまさか! 無理よ!」

 

 その、まさか! リンセンは真正面から列車とやりあうつもりだ!

 

 死者を減らしたいために今すぐ列車を下りてリンセンを助けたいクローナだったが、もちろん列車が急に停止することなどない。

たとえ助けに来られても、リンセンには不要だ。

 

「てめぇらクソ人類どもをォォォ! 十把一絡げにィィィ! 大・成敗! してやるっぜェェェェェ!」

 

 爆発的なエネルギーが棍棒に収束され、迫る列車に真正面から突きをぶっ叩き込んだ! 最前列から衝撃が伝わり、順々に車両を襲ってゆく!

 

 ナイラ国の兵士も乗客も、ラッツもクローナも、突然襲ったそのパワーには成すすべなく、容赦なくに後方へ押し出されたっ!

 

 これは怪物! これは怪物である!

 

 弾かれたビリヤードのボールであったり、蹴られたサッカーボールなどとは比べ物にならないほどの絶大威力で列車は急停止! 列車の全エネルギーを受け止めたリンセンは、それでも崩さない、余裕の表情を! 決して崩さない!

 

 列車のボディには突きによる穴が穿たれていた。

鉄球か? ドリルか? それを見た人間ならば、そう思うだろう。

 

「あ、あのニッポン人め! なんてことだ! 走る列車と真正面からやりあっても平気だと! あいつはまさしく兵器だ! 面白いが、この手で殺す!」

 

 ラッツは懐から拳銃を取り出し、すかさず列車を下りた。

 

「きーさーまー! 目覚めたと思ったら、とんだじゃじゃ馬だ! 消えろ!」

 

「ああ? なんだか知らねぇが、ここはどこだ。お前らは誰だ? ああぁ?」

 

「黙れ! 撃ち殺す!」

 

 拳銃を構えつつ、懐から先ほどのリモコンを取り出した。

 

「ふはははは! クワンザならお前を倒せるはずだ! 次は三体だがな!」

 

 大ジャンプで列車の天井を突き破り、三体のクワンザが姿を現した。

バッタのような跳躍力で、颯爽とリンセンの前に着地する。

 

「へっ! さっきはよくもここまで殴ってくれたな鉄クズども! クソ人類が作ったガラクタなんぞ、今すぐ鉄クズのガラクタクズにしてやらぁ!」

 

 三体のクワンザが三角形の陣形を組んで一斉に襲い掛かった。

 

 てっきり回し蹴りかなにかで撃退するのだろうと思っていたラッツの予想は大きく外れ、リンセンは数メートル高く飛び上がった。

逆光をバックにクワンザたちを見下ろし、またもや余裕の表情でニヤリとほほ笑む。

 

「あれは! あの手袋で変身すれば、あれほどのパワーと跳躍力を得ることができるなんて、ニッポン人は恐ろしっ! だが殺す! クワンザで殺す!」

 

 回避されたことにより、クワンザたちはもみくちゃに激突した。

 

上空から落下したリンセンは棍棒を振り下ろし三体のクワンザを一網打尽に撃破するっ!

 

 首や腰の関節から黒い煙を吹き出し、さらには火を吹き出しクワンザたちは沈黙した。

 

 その圧倒的な強さに、ラッツは腰を抜かす!

 

「こ、こいつ! 変身前はクワンザに殴り飛ばされたのに! なんだこれは! あの手袋、何十倍の強さにこいつをっ!」

 

「俺が知るかよ、んな下らねぇことをよ」

 

 そのときっ! 不意にっ!

 

 隙を見て列車を下りたクローナが、駅に向かって走り出した。

だが体力を消耗した後では逃げることもできず、あっさりナイラ国の兵士に捕まってしまう。

 

 兵士により拳銃を突き付けられたクローナがラッツの前に連行された。

 

 ラッツはリンセンから銃口を離さず、反対の手でクローナの頬を撫でた。

 

「ほーう。ほうほうほうほうほう。愚かにも逃げ出そうとしたか、だが残念。すぐに捕まったなぁ、クローナエスクードよ」

 

 手近に目隠しがなかったため、ラッツは手を使ってクローナの目を隠した。

ラッツの手が見えているため能力をラッツに使うことはできるが、どのみち体力がなければ無理だ。

 

クローナ、妙なことを企んでみろ、このリンセンというニッポン人の命はない。拳銃で撃ち殺すからだ」

 

「そ、そんな赤の他人、人質になるの?」

 

「なにを言う? あなたは人に優しすぎる。お人よしすぎるお人よしだ。できれば誰にも死んでほしくない、と、そう考えているね」

 

 図星だった。

まさにその通りだ。

 

「そしてこっちのニッポン人。お前もだ。妙なことをしてみろ、この女の命はない」

 

「あぁ? 誰だその女。面倒だからさっさとやっちまえよ」

 

 その言葉にはクローナも驚いたが、ラッツのほうが焦る。

 

「なっ!? 貴様、こいつがどうなってもいいのか!?」

 

「どうなってもいいとか言われてもよ、そんな女は知らねえし興味もねぇ。俺がしたいことは一つ、俺をあんな箱に閉じ込めてこんな場所に連れてきたクソ人類をぶちのめすこと、たったのそれだけなんだよ」

 

 銃口を向けられてもひるむことなくリンセンは前進する。

仮に撃たれたとしても、棍棒一本で列車を停止させるリンセンには通用しないが。

 

 だがそこで、リンセンが見たあるものにより精神を揺さぶる衝撃が走る。

それはクローナの白い肌でも美しい金髪でも細身の体でもない、頭上で鼻をヒクヒクさせるハリネズミだ。

 

「お、おい! なんだその、ちっこい動物は!」

 

「な、なにって、ハリネズミよ。この子の名前はピアストル」

 

「ふーん。ハリネズミ、へぇ。なるほどなぁ。気が変わったぜ、この女、守らせてもらう!」

 

 急すぎる心変わりに、ラッツと兵士たちは驚愕する。

その心変わり、まさに三百六十度も違うと言ってもいい。

 

「お、おい貴様! さっきはどうでもいいと言っていただろう!」

 

「っるっせぇ! いいから、俺にぶちのめされやがれ!」

 

 発砲された弾丸をものともせず、拳銃をはたき落とし、ラッツの体に蹴りを叩き込んだ。

立てないほどの威力を貰ったラッツは、朦朧とする意識でリンセンをにらみつける。

ほかの兵士たちは職務など放棄し、一目散に逃げた。

 

「貴様……この、このラッツに、よくも恥を掻かせたな……」

 

「勝手に掻きやがれ」

 

 リンセンは変身を解除する。

纏っていた鎧は瞬時に姿を消し、本来の姿が現れた。

 

 恐ろしい能力を持つ手袋はそのままに、クローナの手を握った。

 

「えっ、あのっ」

 

「あぁ? 黙ってついてこいよ」

 

「だ、黙ってって……なにをするつもりなの!?」

 

「こうするんだよぉぉぉ!」

 

 手を引いて走った先は河っ! リンセンは河に飛び込むつもりだっ!

 

「ちょっと! その先! 河でしょ! ま、まさか飛び込むつもりなのっ!」

 

「急に気が変わったんだよぉぉぉぉ!」

 

 絶大な跳躍で線路から飛び出すっ! 数十メートル下に見える河に飛び込んで着水し、それでも生きていれば奇跡っ!

 

 クローナは手足をバタつかせて必死の抵抗を試みるも、リンセンの耳やら髪の毛やらを掴んで全力で耐え忍ぶ。

 

 腹を押さえながらラッツが立ち上がり、線路の下を確認した。

だがすでに、二人の姿は川底に消えた後であった。

 

「く、クソ……クローナもリンセンも逃がした……これはとんでもない失態だ。上になんて報告すればいいんだ!」

 

 線路を力任せに殴り、鬱陶しく輝く太陽に叫んだ。

そのラッツを見守るのは、悲しく沈黙し鉄クズになりはてたクワンザたちだけだ。

 

「あいつらめ! 必ず捕まえて、殺さずに兵器として使い倒してやる! いや、やはり気分次第では殺す! いや、だが殺してしまっては上への報告が……だがあの男は殺す!」

 

 

 

二章 ホットアンドクール

 

 

 

 クローナエスクードの能力について。

 

 ・能力は、イメージ次第で大体のことはできる。

 

 ・能力は、目に見えるものにしか使えない。

透視したとしても、直接見ていないものには使えない。

 

 ・能力は、凄まじく体力を消耗する。連続使用は危険だ。

 

 ・能力とは、謎である。

 

 ・能力を使う人間は、あるものを犠牲にしなければならない。

詳細は後ほど。

 

 

 

 その後。

 

 二人は川になぞ落ちてはいなかった。

 

 クローナの能力により、水面ギリギリで浮遊し近くの森の中に不時着したからだ。

 

「はぁはぁ……ぐ、ううう……」

 

 能力の連続使用により、疲労困憊。凄まじい消耗だ。

 

 胸が苦しい。

関節に力が入らない。

立つこともままならず、しばらくは行動不能だ。

 

 

 

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