日々を駆け巡るoyayubiSANのブログ

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親指に関すること(関しないことも)を追求するブログ。親指はあんまり出ません。 毎週日曜に更新!

ブログ小説(2)暴風荒ミスティ・ミラージュ ラスティ

お題「マイブーム」

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「あなたは、ニッポンという小さな国をご存知で?」

 

「えぇ……礼儀正しい人種が多く、人の愛を大事にするとか」

 

「ニッポン国に調査に行ったんだがね、そこにはサムライというものがいるそうだ」

 

「サムライ……」

 

 クローナにとって、聞きなれない四文字だった。

 

「そのサムライたちには、選ばれしものだけが使える強力な武器があったそうだ。それは剣でも拳銃でもない」

 

「カタナ? ニッポン人の魂とも呼ばれる」

 

「いいや違う。そこの手袋。それこそが強力な武器なのさ」

 

 男が身に着けている獅子の模様が彫られた手袋が、武器?

 

 クローナには何がなんだかわからなかった。

 

「この手袋が武器とは、どういうことです? いったい」

 

「なぜこの男がそれを持っているのかは分からん。分からんしどうでもいい。だがこいつにはな、肉体を変化させる特殊な力がある。ニッポンの歴史を調べたが、大昔はその手袋で変化させた肉体で魔物を討伐した伝説もある」

 

「肉体を、変化……? まさかあなたたちナイラ国は、この人と手袋を使って戦争をするつもりなの?」

 

「またまた三度目のま・さ・か。ご明察。それとあなたの能力もね」

 

「異国の者まで使って、そこまでして勝利したいの?」

 

「そりゃあそうでしょう。どうせ戦うのなら勝つべきだ。あなただってそうでしょう。無意味にジャンケンをするとしても、やはり勝ちたいと思うのが普通だ」

 

「非道ね、どこまでも非道よ」

 

「好きなだけ言ってください。わはは! 非道! けっこう! 一日で十五回くらいは言ってもらいたいぐらいだね!」

 

 ラッツは不気味な笑い声をあげながらクローナの手を引いて部屋を出た。

 

ただ、あのサムライを見せて自慢したかった。それだけのためにこの部屋へ招待したのだ。

 

「さてクローナエスクード。まだ到着しないみたいだから、もう一つ見せたいものがあるんだ」

 

「まだ兵器を用意しているの? それとも異国人?」

 

「見れば分かる。この隣の部屋だ」

 

 隣の部屋にも同様、大きなカギがついていた。

 

「また能力を使って開けさせたいところだが、ここであなたに倒れられては困る。申し訳ないが、目隠しをさせてもらうよ」

 

 ラッツは懐から取り出した黒い布を、クローナの顔に巻き付けて目を隠した。

見ることができなければ能力も発動できないので、隙をつかれないようにする策略だ。

 

「じゃあ、こっちはカギを使って開けよう」

 

 ドアにカギを滑り込ませ、開いた。

 

 そこには、二メートルほどの人型の機械が五体も並んでいた。

無口無表情で無骨なそれは、インテリアには向かないデザインだ。

 

「ラッツ、あなた、私にそれを見せたいのでしょう? なら目隠しを取らなければ、意味がなくって?」

 

「申し訳ないね、そんなことをして密かにこいつを暴走されちゃ困る」

 

 暴走――。

 

 つまり、暴れまわると危険なもの、ということだ。

 

「じゃあなぜここに連れて来たの? 意味がないでしょう」

 

「それはどうかな、この臭いで、何か分かるのではないか?」

 

 わずかではあるが、油の臭いが充満している。

料理などに使う油ではなく、列車や機械に使われる類の油だ。

 

「油……まさかナイラ国は、自律兵機(クワンザ)を開発したっていうの?」

 

 人以上の運動性能を持ち、命令次第でどこまでも突き進み破壊しつくし、死を恐れない最強の兵士。

 

 

 それは兵士であり、機械であり、究極の戦闘マシンなのだっ!

 

 究極の戦闘マシーンっ!

 

「まーたまたまたまたまた大正解の、ま・さ・か。だ」

 

「ば、バカなことを。こんな技術が現代で可能なわけが……」

 

「可能なのだよ、それが。まぁ、あなたには見せてやらないけどもねぇぇぇぇ!?」

 

 ラッツは再びカギを取り出してから、ドアに手をかけた。

 

 だが、このままクワンザを見逃すクローナではない。

 

 目に見えるものにしか効果がない能力だが”見えていれば”効果は発動する。

 

 つまり今は、目隠しが“見えている”のだ。

 

 (クワンザ、本当にあるのか見てやる……)

 

 能力を集中させ、目隠しを透視する。

 

 薄い布の向こうには、確かにクワンザが見えた。

 

 焦げ茶色と青のカラーリング。

体全体を装甲が覆い、関節部分には無骨な骨組みが見えている。

両手にはバルカンのような筒が装備され、頭にはランプのような目が一つだけある。

 

 そこで、扉は閉められた。

 

 一瞬ではあるが、確かに見えていた。

ウソであってほしかったが、確かにクワンザは存在した。

 

「さて、これで以上だ。あとは目隠しをつけたまま、到着するまで待機だな」

 

「そ、そうね……」

 

「どうした? 息が切れているようだが、おいおい、能力を使ったのか?」

 

 先ほど目隠しを透視したことにより、クローナの全身を疲労が襲った。

 

 ここでバレては面倒なことになる。

クローナは、必死の言い訳を脳内で構築する。

 

「この能力は見えるものにしか効果がないの。使えるわけないでしょ」

 

「じゃあ、その疲れた様子はなんだ。妙だな」

 

「目隠しをされて、手を縛られて、拳銃を突き付けられて、クワンザのことまで知ったんじゃ、それは疲れるのが当たり前でしょう」

 

「ほう。女だからと少しは気を使え、と」

 

「そういうこと」

 

「心配無用。戦争が始まればいくらでも気を使ってやる、丁重にな」

 

 それが冗談ということくらい、クローナは理解している。

悪質な、とても悪質な冗談だということを。

 

 突如、列車内を大きな揺れが襲った。

 

 重力を一瞬だけ反転させたかのような、上に強い揺れだ。

クローナたちの足も、僅かの間だがふわりと宙に浮きあがり、脳を揺さぶった。

 

 目隠しをされた状態でバランスを崩したクローナは、姿勢を維持できずしりもちをつく。

 

 だが情けない悲鳴をあげたりはしなかった。

ラッツという敵の手前、多少なりとも弱い部分を見せたくなかったのだ。

 

「おっと! クローナエスクード、大丈夫かな?」

 

「……」

 

 無言を貫く。

大丈夫といった意味もあり、心配無用といった意味もあり、黙っていろといった意味も込められた無言の威圧だ。

 

「これはこれは。山を登り始めた合図だな。このまま高く登り、あとは山を下りれば駅はすぐそこだ。そういう合図だ」

 

「もうすぐ、到着」

 

 クローナはなんとかバランスを保ちながら立ち上がった。

 

「そうさクローナエスクード。駅に到着すれば、あなたの負け。戦争はスタートし、あなたは兵器の仲間入り。すばらしいね」

 

「そんなに嬉しいの? 戦争で大勢の人が亡くなって、たくさんの人が悲しむのが」

 

「戦争は人を殺すためじゃない。人を生かすためにあるんだ。そのためには多少の犠牲もつきものではあるが」

 

「そんな下らないことで楽しめるなんて、いい性格してるのね」

 

「ふん。相変わらず強気だな。だがそれも今だけだ。さぁ、出口で待機していようじゃないか。一番前の車両まで来い」

 

 ラッツはクローナの背後に立ち、拳銃を突き付けながら前進させた。

目隠しをされながら歩くのは楽ではなかったが、列車内なので直進だけなら難しくない。

 

 なにか、作戦をたてなければ。

 

 自分に今できることは、この能力のみ。

 

 目隠しをされた状態では、“直接”見ることができるのは、目隠しのみだ。

能力は直接見たものにしか効果はなく、一度に色々なことをすると体力の消耗も多くなる。

 

 瞬時に目隠しをほどいてラッツの首を絞めることも可能だが、拳銃を持った相手の前で能力を披露して体力を消耗するのは危険だ。

かと言って何もせずただ兵器として連行されてしまうと最悪最低バッドエンドだ。

 

 最前列の車両まで到着したとき、ラッツの仲間が慌てた様子でやってきた。

 

「ら、ラッツ! ヤバい! ヤバいぜ!」

 

「おいおい、どうした。誰かが鼻血でも流したか?」

 

「あ、あいつが! あいつが動いた! 暴れてる!」

 

「あいつ? 誰のことだ」

 

「だからあいつだよ! あの箱に閉じ込めて連れてきたニッポン人だ! さっきの衝撃で箱が壊れて、中のサムライ野郎が暴れてやがる!」

 

「な、なんだっとぉぉぉ!?」

 

 ラッツはクローナを座席に突き飛ばし、仲間と一緒に後ろの車両に戻っていった。

 

 無人になったこのタイミング。

黙って待っているわけにもいかず、クローナは能力を使って目隠しを外し、後ろに縛られた手を器用に足の下から通して前へ向けた。

そちらも能力で引きちぎり、見事に自由を取り戻した。

 

 だが、疲労が激しい。

数分だけ座席で息を整えるが、連続で能力を使ったために頭痛も酷い。

 

「ど、どうしよう。ここで待つべきか、行くべきか……」

 

 自分は囚われの身。

 

 敵が来なければ、駅に到着してすぐ逃げることも可能だが、この列車には他の乗客もいる。

 

 例のニッポン人が暴れ、他の乗客を襲う可能性も考えられる。

 

 もしも罪のない乗客が襲われ、死者が出たら? 

クローナは自分を責めるだろう。

 

 この能力があれば、助けられるかもしれない。

 

 クローナは完璧に回復していない体のまま、後ろの車両へ駆け出したのだ!

 

 

 

 そのとき、ニッポン人が暴れる車両では。

 

「オリャア! クソ人類ども! こんな箱になんぞ閉じ込めやがって! てめぇらだろうが! おい!」

 

 罵声をまき散らしながら暴れまわり、ラッツの仲間であるナイラ国の兵士たちを次々となぎ倒していく。

 

「こ、こいつ! 目覚めたばかりなのに、なんてパワーだ! あぁああ!」

 

 兵士たちが拳銃を抜き放つ隙もなく、あっけなく突き飛ばされ壁にたたきつけられる。

 

 そのニッポン人は、まさに怪物とも言える怪力だ。

 

「この俺様を! リンセン様を箱に閉じこめるたぁいい度胸してるじゃねぇかクソ人類どもがぁぁあっぁぁ!」

 

 座席に重なり合い、身動きがとれない兵士たち

圧倒的な力に蹂躙され、無数の兵士たちは手も足も出ない。

 

「おい! こいつを押さえろ! 殺すな! 捕まえて箱に戻せ!」

 

 加勢してきた兵士たちが一斉にホルスターから拳銃を抜き放ち、無骨な弾丸を撃ち込んだ。

 

 だがリンセンと名乗るニッポン人は、手袋から孫悟空が持つ如意棒のような棍棒を取り出した。

手袋の手の平あたりから、ぬぬぬっと。

どこか別の空間に直結しているのか、まるで袋から取り出すかのように……。

 

 そしてっ!

 

 暴れ始まったっ!

 

 棍棒をがむしゃらに振り回しっ! 次々と撃ち込まれる弾丸を、余すことなくはじき返してやった! 弾かれた弾丸たちは窓を突き破り! 座席にめりこみ床を抉り兵士たちの足を貫通ぅぅぅ! した!

 

「へっ! てめぇら、俺をあんなもんに閉じ込めた報いは受けて貰うぜ! 十把一絡げに、全員まとめて大・成敗してやるっ!」

 

 そのとき、リンセンの背後の車両からラッツが現れた。

 

 縦横無尽になぎ倒された兵士たちを見て、さすがに動揺!

 

「ま、まずいぞこれは! これはまずい! アレを使わねば!」

 

「あぁ? んだお前、お前も俺の敵だな? お前も、俺の、敵なんだな?」

 

 棍棒を構え、睨みつける。

 

 獣のような眼光にラッツは一瞬怯むが、あくまで反撃するつもりだ。

 

「くっ……こうなったら」

 

 懐にあったリモコンを操作すると、リンセンの隣の部屋にいたマシン――一台のクワンザが起動した。

カギのかかった扉を突き破り、ラッツたちのいる車両まで即座に駆けつける。

 

 クワンザには少々狭いが、暴れる空間がなければ不利なのはリンセンも同じだ。

 

「やれ! クワンザ! この出来損ないのニッポン人を捕まえろ!」

 

 先頭に立つクワンザがゆっくりだが力強い一歩を踏み出した。

関節から蒸気を吹き出し、油の臭いをまき散らしながら、鉄をもひしゃげさせる怪力をリンセンに振るうっ! これが猛威! 破壊的怪力っ!

 

「鉄クズ! お前もぶち壊して粉々にしてやるぜぇ!」

 

 

 

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