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親指に関すること(関しないことも)を追求するブログ。親指はあんまり出ません。 毎週日曜に更新!

ブログ小説 技巧鎧ミスティ・ミラージュ ギア24

お題「マイブーム」

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「階段の前に待機だ。ソフィア、アピアを頼む」

 

 この円形状のエリアに踏み込めば、何かが来る。

 

 入口と出口は完全にシャットアウトして、道を閉ざしたうえで、なにかが攻めてくるはず。

 

とマセルは予想した。

 

「ベルン、準備はいいか」

 

「大丈夫です」

 

 マセルたちは、円形状の空間に一歩を踏み出した。

 

 ――直後、マセルの予想通りに、入口と出口は封鎖されてしまった。

下りてきた冷たい鉄格子が退路を奪い、ソフィアたちとの間に壁を作る。

あまりに予想の範疇すぎて、マセルの心拍数が変動することはない。

 

 ここまで予想通りなら、この先も的中するはず――マセルたちはメットから剣を抜いた。

 

「来たぞ、ベルン」

 

 十メートルもある天井にブラックホールのような黒い靄が出現し、人型の影がゆっくり下りてきた。

 

 黒ウイントフックでも黒アスンシオンでもない、シンプルに、右手に丸い盾、左手に細身の槍を持った戦士のような風貌。

だが色は黒一色で、表情も生気も一切存在しない。

 

「マセルさん、こいつも遺跡を守るためのものですよね」

 

「だろうな。さっさと倒して次に進むぞ!」

 

 黒い影は槍を構え、戦闘態勢に入った。

 

二体一は少々卑怯ではあったが、相手の力量を把握できない限りそうも言っていられない。

 

 アルジェ遺跡の防御システムともなれば、まず拳銃などで対抗できるものではないだろう。

 

 マセルたちは挟み撃ちを狙い、左からマセル、右からベルンが回り込んだ。

黒い影は後退しつつ、槍と盾をそれぞれに向けて戦闘態勢を崩さない。

 

 ――マセルは地を蹴って飛び込んだ。

矛先は向いていたが、構わず特攻する。

 

「もらった!」

 

 突き出される槍を剣で絡め取り、巧みに受け流した。

訪れた隙を逃さず、黒い影の頭に右足で回し蹴りを叩き込む。

 

 盾は右――ベルンの方へ向いている、防がれることはない。

 

 が――。

 

 蹴りは黒い影を貫通――命中の感触はなく空を蹴る。

黒い影は武器ごと霧散し、その場から姿を消した。

 

「マセルさん、どうなっているんですか!?」

 

「武器も体も霧、でもあっちから攻撃はできる。そういう特殊なやつらしい」

 

「厄介な相手ですね……」

 

「たしかにそうだが、この状況も厄介だ」

 

 霧散してからというもの、黒い影はその場から姿を消したままだ。

かといって鉄格子が開くわけでも別の通路が現れるわけでもなく、部屋そのものに目立った動きはない。

 

 ――どこから来る……?

 

 ――いつやってくる……?

 

「ベルン、後ろだっ!」

 

 ――ふり返る――。

 

 目と鼻の先から槍が迫り、ベルンのメット横をかすめた。

 

寸前で直撃は免れたものの、バランスを崩したベルンに隙が生まれる。

 

 反撃する暇も、ない。

黒い影は槍を引っ込めて盾を突き出した。

鋭利ではないものの範囲は広く、またも大きな隙が生まれてしまう。

 

 盾を引き、連動するように槍を出す。

だがここでまんまとやられるベルンではない。

 

「させるか!」

 

 高速で迫る槍を、ベルンは両手でガッチリとホールドした。

 

「ベルン! 今行くぞ!」

 

 攻撃を受け止めて動きを封じることが出来れば、逆転に繋げることだって不可能ではない。

 

 黒い影はアスンシオンと同等――それ以上のパワーであり、押し負けるのは時間の問題だ。

 

 マセルは疾風の如く駆け、黒い影を正面から水平に薙ぎ払った。

 

 ――だがこれも失敗。

黒い影はまた霧散し、剣は空を斬る。

 

「あいつ、また隠れやがった……」

 

 どういった原理なのか、おそらく科学的に考えたところで答えを出せる者はいないだろう。

遺跡やお宝に科学的なことを追求するのは愚かなことだ。

この黒い影についても同様で、原理や現象など、人類に解明はできない。

 

「どこだ……?」

 

「どこに……いる?」

 

 二人は背中を合わせる。

ゆっくりと時計回りに回転し、警戒を三百六十度に行きわたらせる。

 

 ――来ない。

 

 逃げたのかと思えるほど、気配という気配はその場から消失している。

そもそも影に気配があるのか、という疑問もあったが。

 

「マセルさん、気になることがあるんですが」

 

「後にしろ」

 

「いえ、今でなければ――」

 

 ――出現。

 

 会話中の隙を狙ったのか、黒い影は頭上から現れた。

 

 背中合わせになっているマセルとベルンに落下しながら振り下ろされた槍を、マセルは一歩踏み込んで防いだ。

 

「こいつっ! 影のクセに、パワーはハンパねぇ! 拍手をくれてやるぜ!」

 

 土の地面なら何センチかは沈んでいただろう。

一本の槍から圧しかかった衝撃は凄まじい。

 

「ベルン! こいつを攻撃しろ!」

 

「いえ、ダメです。またさっきみたいに逃げられるだけです」

 

「じゃあ……どうしろっていうんだよ……!」

 

「さっきの話です。マセルさん、そいつを引きつけながら壁に背を向けてください」

 

「な……に……?」

 

 わけの分からないマセルだったが、説明を聞く暇も、疑問に思う暇もない。

 

 槍を剣で押さえ込みつつ、黒い影の体に触れぬよう壁に押し出した。

火事場のバカ力ならぬ遺跡のバカ力で、血管が切れる寸前でフルパワーで壁際へ押し込む。

 

 ジリリ、ジリリ、足から地面が離れず、しかし確実に前へ進む。

 

 また霧散して逃げぬよう慎重に、大胆に、しかしいつでも逃げられるよう気は抜かない。

 

 ベルンの作戦通り、マセルは黒い影を壁際まで追い詰めた。

 慌てて振り返り、ベルンに確認する。

 

「ベルン! これでどうだ!」

 

「違います! そいつを引き付けてマセルさんが背を付けるんです!」

 

「む、無茶を言うな!」

 

「ようするに、そいつの背中を僕のほうに向けてください!」

 

 無茶な作戦だとしても、今はやるしかない。

 

 位置を反転しつつも、黒い影に押されないようにしながら絶妙な加減で力を緩める。

壁の方向に向いたとき、さらに力を緩めて壁際まで押し込ませた。

 

「ベルン! これでいいか!」

 

「やっぱりか……!」

 

 ベルンは、まっしぐらに剣を構えて突進する。

 

 黒い影に気配を察知する能力があるのか不明ではあったが、なるべく静かに、かつ素早く前進し、黒い影の背後を狙う。

 

 動くな――動くな――動くな――。

 

 ベルンはただそれだけを祈り、足を動かす。

 

 ――そして。

 

 黒い影の背中に渾身の一撃を叩き込んだ。

 

だが以前のように霧散して逃げることはなく、黒い影は原型を保ったままその場で力を失う。

当然だが、生物や固形物に刃を貫通させた感触ではなく、どちらかと言うと水に剣を突き立てたような感覚であった。

そのことに多少なりとも安心する。

もしも肉のような感触があれば、敵とはいえあまり心地の良いものではない。

 

「もらった!」

 

 力が抜けた隙を突き、マセルが黒い影を水平に薙ぎ払った。

 

 声も上げず、苦しむこともなく、黒い影は武器を離し、光に飲み込まれたかのようにゆっくりとその色を失って、やがて――消滅。

 

 霧散ではない。

つまり逃亡ではなく、撃退することができたのだ。

 

 勝利の報告のつもりなのか、入口と出口の両サイドを塞いでいた鉄格子が上がり、ようやく次に進めるようになった。

 

「倒した、よな?」

 

「大丈夫だと思います」

 

 一悶着を終え、二人は変身を解除した。

 

 さてソフィアたちを連れて次へ、というわけにはいかず、マセルは疑問を口にする。

 

「おいベルン、さっきのどういう作戦だったんだ?」

 

「いえ、戦っている最中に話そうと思っていたんですが……あの黒い影、僕らに一度も背中を向けていなかったんです」

 

「そうだっけ?」

 

 人間の常識で推測するのなら、敵に背中を向けずに動くのは当然のこと。

だが相手は剣を入れたところで命中せず、ニンジャのように別の場所から自在に攻めてくる。

命中しないのなら、そもそも背中を守る意味もない。

そこにベルンは注目した。

背中を向けないのは、おそらく背中に弱点があるからだ、と。

 

 それに関しても推測の域を出ることはなかったが、このまま無意味な空振りばかりするよりはマシ、というある意味賭けのようなものではあった。

まぁ結果オーライである。

 

「背中に弱点があったんですよ。あんな真っ黒な身体でしたけど、背中にだけ白く丸い模様があったんです」

 

「やるじゃねぇかベルン」

 

 二人の戦士は静かにハイタッチを交わした。

 

「でもマセルさん、まだ終わりじゃないみたいですよ」

 

「……あぁ、そうみたいだな」

 

 まだ一本道が続いている。

次も似たようなトラップが待ち受けている――というよりは、むしろ試練と言った方が適切かもしれない。

 

「あぁいう敵が出てくるとなると、やっぱり奥にはなにかが隠されていますね」

 

「もしかしたら、アピアの病気を治せるような何かもあるかもしれない」

 

 それが不老不死の歯車のような、名ばかりの呪いのお宝でないと祈るしかないが。

 

 だがベオグラード遺跡とアルジェ遺跡は、共にソフィアとの関連が強い。

アルジェ遺跡のお宝も、ベオグラード遺跡と同様に呪われたお宝が待ち構えている可能性が高いと懸念している。

 

「僕は行きますからね。どれだけ危険な道だろうとも」

 

「当然だ」

 

 マセルはソフィアの手を引き、ベルンはアピアをおぶった。

 

 奇跡を目指して、希望を目指して、次へ歩くのみ。

 

「しかし、妙だな」

 

 道を進みながらマセルが言う。

 

「妙? 何がですか?」

 

「さっきの黒い影だ。あいつ、そもそもなぜ襲ってきた?」

 

「それは……遺跡を守るため、なんじゃ?」

 

「それはなぜだ?」

 

「さぁ、そこまでは分かりませんよ。遺跡に関してはマセルさんのほうが詳しいのでは?」

 

ベオグラード遺跡は、おそらくトレジャーハンターの探求心をかきたてて前に進ませる必要があったからだ。俺やお前のような、あとあの盗賊みたいな強い人間だけをふるいにかけてな」

 

「なるほど」

 

 強い人間だけを奥に進ませるようにし、そして不老不死の歯車が強い人間の命を吸う

その頂点に立ち、犠牲になったのがバンだったわけだが。

 

「じゃあこの遺跡の目的は?」

 

「あっちが死を司る遺跡なら、こっちは生を司る遺跡だ。強い人間のみが辿り着いて命を与えるのかもな」

 

「命を与えるのなら、強い人間である必要はないんじゃ?」

 

「遺跡を作った連中……おそらくソフィアの親戚かなにかだと思うが、そいつらの意図は分からん。けど、なにか秘密があるのは間違いないだろうな」

 

「なるほど」

 

「なぁソフィア、なにか見覚えないか?」

 

 マセルはぼうっとした様子のソフィアに質問する。

 

「ここ、知ってるよ。だってここ、来たことあるから」

 

「は、え、え、ちょっと。ソフィア、お前、知らないって言ってなかったか?」

 

「言ったけど、なんか少しずつ思い出してきた気がするよ」

 

「たと、えば……?」

 

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