日々を駆け巡るoyayubiSANのブログだよ。

日々を駆け巡るoyayubiSANのブログ

親指に関すること(関しないことも)を追求するブログ。親指はあんまり出ません。 毎週日曜に更新!

水曜ラノベ 技巧鎧ミスティ・ミラージュ ギア9

 

お題「自作小説」

 

 

 

「憎い、というより、よく分かんないです。罪を償えとも思いませんし、なんなんでしょう。憎むとか恨むとか、もういい気がします」

 

「え、五年も思ってたんだろ? そんなあっさり?」

 

「私は、渡り鳥であるマセルさんに一つだけ確認したいことがあります……マセルさんは、良い人なんですか?」

 

 マセルはコメカミのあたりをボリボリと掻く。

 

「さっきはバンダルを倒すために嘘ついちまったけど、俺はお宝を悪用しないし裏に流すこともしない。困っている人はなるべく助ける。それしか言えることはない」

 

「……でも、もしもまた騙すことがあったら、絶対に信用しませんよ」

 

「分かったよ」

 

 再びアクセルを踏み込み車を走らせるバレッタ

あとは気分を変えて音楽でも流そうかと思った矢先、新たなトラブルがやってくる。

 

「危ないっ!」

 

 踏み込んだ足はすぐさまブレーキに移り、急停車する。さすがのマセルも対応できず、シートベルトがお腹に食い込んだ。

 

「い、いきなりどうした!?」

 

「だって、人が来たんですもん!」

 

 マセルが視線を正面へ向けると、そこには五人の人間がいた。

 

 制服を着た麦わら帽子の金髪少女……を連れたキングストン連中が歩いていた。

 

 バンダルとソフィアはともかく、自力で辿り着いたスリブたちも同行していた。

 

バレッタ、ちょっとここで待ってろ」

 

「は、はい!?」

 

 マセルは車を飛び出し、五人の前に立ちはだかった。

腰に手を当て、仁王立ちである。

 

 

「おいヘッポコキングストン、その子を放せ。ソフィアもだ」

 

「ゲゲゲッ、マセル坊や」

 

 あからさまに嫌な顔をするバンダル。

 

 少女は腕を掴まれているわけでもなく、マセルに助けを求める様子もない。

 

 バンダルよりも前にいて、捕まえるというよりは道案内をしているようだった。

 

「その様子だと、その子を脅迫してどっかに道案内させてるな?」

 

 と、マセルは少女を見る。

怯えた様子もなく、逃げるタイミングを計ってもいない。

 

「きみ、どうなんだ」

 

「は、はい。港まで案内してくれと頼まれて。ごめんなさい、ちゃんと車を見てなくて」

 

「案内だと? そう言えって脅されてるんだな?」

 

「ち、違いますよ」

 

「残念だが道案内はここで終了だ。きみは今すぐそいつらから離れろ。そいつらは悪党だぞ」

 

「悪党?」

 

 少女はバンダルたちを見据え、直後に表情が険しくなる。

 

「あの、もしかして故郷に帰るために船に乗るっているのは嘘なんですか?」

 

 なにを口実に案内を頼んだのか、少女は真実を探る。

 

 それにはソフィアが、開かなくてもいい口を開いた。

 

「嘘だよ! 本当はね、海に浮かぶベオグラード遺跡ですっごいお宝を見つけて、すっごい力で世界征服しようって企んでるんだよ! 秘密だから誰にも言わないでね~」

 

 事実をいとも容易くバラしたソフィアに、キングストン連中があわあわと慌てふためく。

 

 少女の疑問が確信に変わり、すぐさまマセルの下へ走り腕にしがみついた。

 

 女子高校生が密着し、マセルの頬がほんのり赤くなる。

 

「せ、世界征服って。どういうことですか? 本当に悪い人たちなんですか?」

 

「いや世界征服はやりすぎかもしれんが、大体その通りだ。ところできみ、名前は?」

 

 マセルは金髪の制服少女の名を訪ねた。

 

「あ、アピアニコシアです。あの、私、どうしたらいいんでしょう?」

 

 制服を着た金髪の少女――マセルたちに面識はないが、それはベルンの幼馴染、アピアニコシアだった。

 

 数分前、ベルンから離れて家に戻ろうとしたところ、飛ばされたキングストン連中と遭遇し、港への道案内を任されていたのだ。

 

「きみは逃げろ。こいつらは俺がなんとかする」

 

「なんとかするって、大丈夫なんですか? 悪い人たちなんですよね?」

 

「大丈夫だ。俺にはこいつがある」

 

 “こいつ”とは、ウイントフックのことだった。

 

 お宝とは無縁のアピアにウイントフックのことをバラしていいものか、とマセルはバラしてから後悔したが、もう遅い。

 

「これって……」

 

 アピアはウイントフックを目にし、ベルンの履いていたアスンシオンを思い出した。

 

 変身した姿をまだ見てはいなかったが、ベルンを変えるような力が隠されていることには薄々感づいていた。

 

 ウイントフックからは、同じ気配を感じている。

 

「とにかく、きみは離れていろ」

 

 アピアは近くの電灯の後ろに隠れ、様子を窺った。

 

 キングストン連中がどうなるのか、マセルは大丈夫なのか、そういった心配ではない。

 

 あの靴はベルンの靴と同じようなものなのか。アピアはその真相を知りたかった。

 

 マセルはウイントフックに三度目の変身をし、メットの歯車を外して剣を伸ばす。

 

 バンダルに向け、一歩ずつ距離を詰めた。

 

「さっきベオグラード遺跡と言ったな。ソフィア、ベオグラード遺跡にはなにがある?」

 

「うーん、知らないよ~」

 

 ソフィアが言うなら本当か、とマセルは納得する。

 

 だがバンダルは、まだ諦めていなかった。

秘策があるのだ。

 

「し、仕方ないわ。じゃあソフィアはそっちにあげる。うるさいし邪魔だから」

 

 バンダルはソフィアの背中を押し、マセルはソフィアの手を握る。

 

 これで邪魔者はいない――構えたバンダルは、秘策を発動する。

 

「じゃあ、スリブ、ガワン、一目散に全速力で逃げるよ!」

 

「「承知でガッテン!」」

 

 三人で同時に駆け抜け、あっという間にマセルの目の前から消えていった。

 

 変身しているうえに剣まで持っているのでは、敵うはずもない。

 

 目の前にいないのなら相手する必要もないと脱力したマセルは、ソフィアを連れて車に戻ろうとした。

 

 が――。

 

「あれ」

 

 握っていたはずの手はそこにはない、右にも左にも、後ろにもない。

 

「またついていったのかソフィア!」

 

 ソフィアはバンダルの腰にしがみつき、共に逃亡を果たしていた。

 

 なぜそこまでキングストン連中と一緒にいたがるのか、マセルには理解できないが、しかしいない者はどうしようもないので、変身を解除してアピアの下へ戻った。

 

「きみ、アピアといったな? ケガはないか?」

 

「え、えぇ。大丈夫ですけど」

 

 アピアの目にはウイントフックしか映っていない。

 

 その場で瞬時に鎧を装着し、瞬時に解除できる靴――夢か幻か、目を疑うとはこのことだ。

 

「それより、あなたのお名前は?」

 

「え? あぁ、俺はマセル・エレバン。南のミンスクに住んでるトレジャーハンターだ」

 

「トレジャーハンター? じゃあ、その靴も遺跡かなにかで?」

 

「そうだ。あ、いや、あんまり他人には言わないでくれよな」

 

 お宝にはそういう力もあるのかな、とアピアは無理やり納得する。

 

 だがもしベルンの靴もお宝ならば、同じく危険な力があるのかもしれない。

だから尋ねずにはいられなかった。

 

「……あの」

 

「うん?」

 

「その靴がもう一つあるって言ったら、どういう反応しますか?」

 

 マセルがジャメナン遺跡で海に落としたもう一つの箱のことなのか否かマセルには判別できないが、何か訳があってそう質問しているのは容易に想像できた。

 

「どういう反応って、もしかして、この靴のことを知っているのか?」

 

「い、いえ。もしもの話ですよ。もしもの話」

 

 アピアはベルンの持つアスンシオンについては黙っていた。

 

 まだベルンの靴がウイントフックと似たものだと確信もなかったうえ、今度はベルンが悪党に狙われる可能性も危惧していたからだ。

 

「あの、助けていただいてありがとうございました。私はこれで」

 

 アピアはぺこりと頭を下げ、そそくさとその場から退散した。

 

 妙なことを質問されたマセルは首を傾げつつも、バレッタの車に戻る。

 

「すまないな。待たせちまって」

 

「なんか、凄い活躍じゃないですか。女の子を助けるなんて」

 

「普通だろ? さぁ行くぞ」

 

「じゃあ、あとは橋を渡って南のミンスクまで行けばいいんですね」

 

 アクセルを踏み込もうとしたバレッタに、マセルは待ったをかける。

 

「いや、残念だがバレッタ、道は変更だ。ミンスクには行かない」

 

「え? 行かないって、ミンスクに戻らないんですか?」

 

「すまないな、トレジャーハンターのスケジュールは変動が激しいんでね」

 

 ――ベルンサイド――。

 

 ベルンを勧誘したカストリーズ盗賊団のボスであるバンジュールフリータウンは、ベルンを自身の船に案内した。

 

 色はほぼ白一色で、ちらほらと銀や黒が混ざっている。

尖った船頭に、薄く無駄のない船体。

サイズはテニスくらいなら大げさにプレーできるほど。

 

 中は白を基調としたカラーリングに、小さなキズ一つないツヤのある壁や天井。

天井には、白い船内に反発するように黒い歯車が回転している。

 

 コの字型に囲まれた計器類の前に五人の男女が座り、それぞれモニター類を見ながらキーを叩いている。

中心にはバンが立つ小高い足場があり、船内を見回せるようになっていた。

 

「す、すごい」

 

 ベルンは目の当たりにしたことない場所に瞬きを繰り返す。

 

「みんな、こっちを見てくれたまえ」

 

 バンが言うと、男女五人が一斉にバンへ向いた。

 

「右からルアンダ、ビクトリア、リンベルの女性メンバー。そこからキガリとタリンの男性メンバー。とっても頼りになる。ベルンくんも仲良くね」

 

「よ、よろしく」

 

 人前に立つのが得意ではないベルンは、誰一人の目を見ることなく挨拶をする。

 

 緊張を察したバンはベルンの肩を掴んで後ろを向かせ、耳元で囁く。

 

「ベルンくん、これから行くところ、どこだか分かるかい?」

 

「え?」

 

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