日々を駆け巡るoyayubiSANのブログだよ。

日々を駆け巡るoyayubiSANのブログ

親指に関すること(関しないことも)を追求するブログ。親指はあんまり出ません。 毎週日曜に更新!

水曜ラノベ 技巧鎧ミスティ・ミラージュ ギア8

 

お題「自作小説」

 

f:id:oyayubiSAN:20190430231423p:plain

マセルはウイントフックの変身を解除し、風呂あがりの上半身裸の姿に戻る。

 

 疲れて力が抜けたバレッタに手を差し出した。

 

「ホラ、立てよバレッタ

 

 差し出された手を無視し、バレッタはマセルのお腹に強烈な拳を叩き込んだ。

だが、まともに鍛えていないパンチなど受けてもマセルには意味がない。

 

「あのソフィアって子はどうするんですか! 助けるんじゃなかったんですか!」

 

「あっ、やべぇ」

 

 ソフィアはバンダルと一緒に吹き飛ばしてしまった。

 

 交渉だけでこちらに連れていける状況ではなかったが、一緒に飛ばすのはやりすぎたとマセルも反省している。

 

 しかしポジティブに考えれば、ソフィアはキングストンを引っ掻き回すのが得意分野のようで、邪魔をしてくれればマセルとしても万々歳ではあった。

 

 バレッタは腕を組み、プイっと頬を膨らませる。

そして肝心なもう一つの大事なこと。

 

「さっきのアレ、なんなんですか。なにが五十万エンのバッチですか。二十エンなんてお菓子を買って終わりじゃないですか」

 

「いや、あれは作戦なんだよ。バレッタを怒らせてバンダルを油断させたんだ。じゃなかったらわざわざバッチの真実を言わないだろ」

 

 バレッタは僅かながら納得する。

怒らせる意味はほかにない。

 

「だったら、お風呂に入ったんですから、キッチリと恩を返してくださいよ」

 

「あ、あぁ」

 

 と言われても、五十万エン相当のお宝など手元にない。

 

「じゃあ、俺のアジトに来てくれ、指輪とかネックレスならある」

 

 なんとかバレッタを宥(なだ)め、マセルは服を着るためにバレッタの家に戻った。

まだしっかり乾いていない服を取り、それを着る。

 

 そういえば、と落ちていた写真について尋ねなければいけないことを思い出した。

 

 歯車がむき出しの小型飛行機を背景に、大勢の人間が映った写真。

 

その中には、今は亡きマセルの友人であるナウル・アルマトゥイと、帽子を被っていないバレッタが含まれている。

 

「なぁ、バレッタ、この写真――」

 

 見せた瞬間にバレッタがひったくり、質問は中断された。

 

 友人のことを聞くチャンスだったが、今のバレッタはどうやっても答えないだろう。

 

「そこに俺の友人が写っているんだ」

 

「本当ですかねぇ……?」

 

 目を細め、真実かどうか探っている。

 

「本当だって。ナウル・アルマトゥイっていう男だ。機械好きで、良いやつだった」

 

「だ、だったって……?」

 

 バレッタの疑いの眼差しは、マセルの一言で困惑に切り替わる。

 

「あいつは五年前に死んだよ」

 こればかりは、マセルの言葉が嘘だと信じたかった。

 

「頼むよ、ナウルとどういう関係だったんだ。それはいつ撮られた写真なんだ?」

 

「こ、答える義理はありません」

 

 写真はバレッタのポケットへと消え、背を向けた。

 

 これ以上聞き出すには、信用が足りない。

そう諦めたマセルは「すまなかった」と謝り、出口に手をかける。

 

 だが質問があったのはマセルだけではないようで、バレッタは背中に問いかける。

 

「マセルさんは、トレジャーハンターなんですよね。じゃあ、渡り鳥って知ってますか」

 

「そりゃもちろん」

 

「決してお宝を悪用せず裏で取引もせず、組織と取引して報酬を受け取りもしない一匹オオカミらしいですけど……渡り鳥はこの写真に写ってるナウルさんと親友同士だったとか」

 

「そうそう。目の前にいる俺が渡り鳥だ」

 

「え、そ、そうなんですか?」

 

 バレッタの目はキラキラと輝くわけでも嬉し涙で溢れるわけでもない。

疑いの眼差しがより強くなる。

 

「じゃあ、あなたがナウルさんを殺したんですね……?」

 

 ――ベルンサイド――。

 

 靴を取り返しに来たベルンは、アスンシオンに変身しスリジャたちを返り討ちにした。

 

 逃げ遅れたスリジャはベルンに捕まり、ナイフで刺そうとしたが失敗。

ベルンに首を掴まれ、危機一髪となった。

 

「靴を返せば手加減するとは言ったけど、ナイフを持ち歩くような悪人は許せないんだ」

 

「ゆ……許せないって……な、なにを……」

 

「いま、お前の命をどういう風に終わらせるのかを考えている」

 

 ベルンはメットの右に付けられている黒い歯車に触れた。

マセル同様、人が握れるほどの太さの棒が飛び出す。

それを握り、歯車を外す。

ブンと腕を振ると、歯車の中に収納されていた刃が出現した。

 

 アスンシオンの体と同じく、黒い刃。

そこに刻まれているのは三日月のマークで、ソフィアの左頬にあった青い塗料と同じだった。

 

「おいベルン、じょ、冗談だろ……? 冗談だよなぁ……?」

 

 右腕を引き、剣先をスリジャに向ける。

 

 本気で死を覚悟したスリジャは、鋭く光る剣先を見てツバを飲み込んだ。

 

「悪いなスリジャ、僕は手加減が苦手なんだ」

 

「やめろ、やめろ、やめろぉぉぉぉ!」

 

 ベルンの腕が容赦なく襲撃し、剣は深々と突き刺さった。

 

 ――スリジャの断末魔が“いつもの場所”に轟いた。

 

 ゆっくりと、スリジャは力を失くしてその場に倒れた。

 

「――ふん」

 

 アスンシオンの変身を解除し、ベルンは取り返した靴に履きなおした。

ため息をつき、ベルンはつま先をとんとんと整える。

 

 ベルンはその場を後にしようとしたが、直後に見知らぬ男が立ちふさがった。

 

 警察? バレた? アピアが通報した?

 

 あらゆる可能性に背筋が凍りつくベルンに、その男は指を突き付けて言った。

 

「僕様が気に食わないことその一、それは弱い人間だ。弱い人間がいい武器を手にしてもナマクラにしかならない」

 

「な、なんですか?」

 

「きみ、見ていたよ。すっごい度胸だねぇ。きみは強い人間だ」

 

 見知らぬ男。

背は百八十ほどで、白い服に白い靴、極めつけに白い帽子。

腰まで伸びた金髪を結んでいる。

まるで貴族のような風貌だった。

 

 唐突に出た賛美の言葉に、ベルンは不気味さを感じた。

決定的証拠であるスリジャを目撃されていたものの、ここで言い訳をしないわけにもいかない。

 

「いやぁ、とぼけなくてもいいよ。そいつを、いや、そいつらを返り討ちにしたんだろう」

 

「まさか、ずっと見ていたんですか。僕を人殺しで通報しますか」

 

「え? おかしいな、誰も死んでないみたいだけど」

 

「……」

 

「まさかギリギリで、剣を壁に突き刺すとはね」

 

 スリジャに刺し傷の類は一切なく、ただ死を覚悟したショックで気絶しただけだった。

代わりにレンガの壁には、剣による穴が深々と空いていた。

 

 ベルンの情け――甘さ――がなければ、剣がスリジャを貫通していたことだろう。

 

「それで、僕にどんな用ですか。あなたは誰なんですか」

 

「ごめんね。紹介を忘れていた。僕様の名はバンジュールフリータウン。盗賊団、カストリーズのボス、と言っておこうかな。まぁ、気軽にバンとでも呼んでくれよ」

 

「盗賊団? カストリーズ?」

 

カストリーズを知らないかいベルン・ロゾーくん。まぁ盗賊と言っても人から奪うわけではない。遺跡のお宝を見つけて、裏で流してお金を貰う」

 

「それって、犯罪なんじゃ」

 

 どれだけの値打ちがあっても、お宝を売ることは違法だ。

 

「僕様が気に食わないことその二、それは使えない人間だ。ただ酸素を二酸化炭素に代えるしか能がないなら、観葉植物の方が役に立つ」

 

「まさか、盗賊団と一緒に遺跡発掘でも行くのですか?」

 

「その、まさかだ」

 

 ――マセルサイド――。

 

 「――じゃあ、あなたがナウルさんを殺したんですね」

 

「確かに俺はナウルを殺した。でも直接ではなくて間接的だ」

 

「間接的?」

 

「……ところであれはいつの写真だ?」

 

「六年前です。私が十四歳、まさに中学生のときです」

 

「あの写真の一年後、俺は親友のあいつと飛行機に乗ったんだが、空中でトラブルがあって海に落ちたんだ。俺は飛行機の残骸にしがみついて助かったけど、ナウルは離れた場所に落ちて助けられなかった」

 

 バレッタは黙って聞いている。

 

「俺はナウルの死を周囲に聞かせたくなかったから、事実はナウルの姉だけに伝えた」

 

「リンベル・アルマトゥイさんですよね。あのときはお世話になりました」

 

「だから、リンベルさん以外には、ナウルは行方不明ってことにしてた。お前は真実を知らない方がよかったかもしれないな」

 

「いえ……ナウルさんが飛行機に乗る前、渡り鳥って人と乗るって聞いてましたけど、それが誰なのか分からなくて。渡り鳥のこと、心の中で責めてました」

 

「俺が渡り鳥だと知って、俺が憎いか?」

 

 バレッタは目に涙を浮かべ、車を停めた。

 

 

 

 

ブロトピ:今日のブログ更新 ブロトピ:ブログ更新通知をどうぞ! ブロトピ:今日の雑談日記 ブロトピ:はてなブログの更新報告♪ ブロトピ:今日の趣味日記